一人になってから30分ぐらい経ったころだった。
コンコン、と戸を叩く軽い音が部屋に響く。
「誰?」と、警戒しながら返事をした。
「ボクですよ。」
その声を聞いて胸にこみ上げかけた安堵感を押し込めた。
味方と決まった訳じゃない。寧ろ敵の可能性の方が・・・
考えに浸っているうちに、ロランが遠慮がちな表情で入ってきた。
が、それだけではない。
後から知らない二人も入ってきた。
三角帽を被り黒いローブを纏った男の人と、長髪で隻眼の女の人。
男の人のほうが口を開いた。
「私はペタという者だ。そしてこっちがキャンディス。」
ペタの紹介が終わるとすぐ、女の人が騒ぎ出した。
「ファントムの門番ピエロで呼び出された奴が来たって聞いたから見にきたけど・・・こーんなひよっこだなんて、信じらんない!!」
大人の色香がただよう外見とは裏腹に、まるで幼児のようにじたばたと暴れだした。
「あんたなんてファントムの目に留まるには一億年早いのよ!!!!!」
「な、何意味不明なこと言っ・・・」
キャンディスのパンチが飛んできた。が、は間一髪のところでかわしきった。
「私のパンチをよけたですってぇ〜!?生意気すぎよ!!」
殺気に満ちたオーラがキャンディスを取り巻いている。
「あ、あの、キャンディスさん?少し落ち着いてくださいよぉ」
「そうだ。子供相手に大人気ないぞ。」
「子供だって関係ないわ!これは女の戦いよ!男は黙ってなさい!!」
「だって女の子の顔に傷がついちゃったら・・・。」
「ロランの意見もズレているが、ここで騒いでも何もならないぞ。」
「・・・そうね。い・ま・は・見逃しといてあげるけど、次は容赦しないからね!」
そう言い放つと大げさな音を立てて部屋を出て行った。
「私何か悪い事した?」
「いえ、単純にキャンディスさんが短気なだけです。」
「ふぅん・・・。それであなたの用はなんですか?」
先ほどペタと名乗った人に目を向けた。
ペタは一呼吸置き、と視線を合わせてから言った。
「私達がお前をこの世界に呼んだ理由を話しに来た。」
「!!あなたたちが・・・?」
これは重要な話だ、と思い、はつばを飲み込んで身構えた。
「まず確認するが、お前は本当に異世界から来たな?」
「はい。変なピエロに頼んで。」
「そのピエロ、正しくは『門番ピエロ』って言うんですよ。」
「異世界とこのメルヘヴンをつなぐARMだ。」
「あーむ??」
「今はとりあえず魔力の籠ったアクセサリー、と思っていればいい。」
「で、門番ピエロを使ってボクが君を呼び出しました!」
「・・・はぁ。でもなんで私なんかを呼ぶ必要が・・・」
「それはですねぇ」
そこからロランはチェスの兵隊という組織について教えてくれた。
この世の中に見捨てられた人達が集まった集団だということ。
6年前、戦争を仕掛けたがリーダー同士の相打ちに終わったこと。
司令塔ファントムのこと。
そしてもうすぐファントムが復活し、チェスも復活することも。
「でもそれと私は関係ないでしょう?」
「それが、関係ある。ファントムは6年前、万が一負けた場合に次は負けないよう戦力を増加するため、私たちに門番ピエロを託してから
戦場へと向かった。それで呼び出したのがお前と言うわけだ。」
「異界の住人はボクらより身体能力がかなり高いので強力な切り札になるんです。」
「それじゃあ私はチェスに利用される身なわけ!?」
「確かにそんな面もありますけど・・・でもチェスでの生活は楽しいですよ。」
「お前だって世界を憎んだことがあるんじゃないか?一緒に復讐してみないか?」
利用される身だけれど、楽しい生活、世界に復讐―――――――――――……
「・・・わかった、とりあえずOKしとく。」
「ありがとうございます!!」
このときは軽い気持ちで承諾した。
しかし私は後々、この返事を大切に思ったり悔やんだりするのだった。
☆あとがき☆
なんか難しい話になってしまいました(汗
原作ではこれからファントム復活!ってところです。
先が遠いよ〜〜〜