ノートが詰まった黄色いかばん。
ポケットには愛用のポケナビ。
これぞ!「じゅくがえり」ルック!!
・・・あと、モンスターボールさえあれば、ね。
カナズミっ子なら誰でも憧れる塾帰り。
ジムリーダーの影響か、とにかく大人気。
そして今日、私は・・・
「コラッ!起きなさい!!」
「・・・あと5分寝かせて・・・。」
「でもね、スクールの登校時間まで、あと5分よ。」
「へ〜っ・・・ってええ!?」
朝っぱらから大ピンチ・・・。
眠たいけど、スクール初日から遅刻は勘弁!
朝ごはんを1分で口にかきこんで、ごちそうさま。
「いってきまーす!」
勢いをつけてドアを開ける。
まだ冷たさの残る春の風が、何かのはじまりを告げるように吹き抜けた。
は、大きく、ゆっくりと深呼吸をしてスクールへの道を駆けていった。
それから数分としないうちに、白く大きな建物が視界に入ってきた。
それを目指して、もっと速度を上げる。
「まだ、間に合うかな・・・?」
腕時計を見るような暇はない。
建物の前に着いて、階段を段飛ばしで駆け上がり、ようやく手紙に記された教室に着いた。
ドアを開けた瞬間部屋に居る人の視線の全てをうけた。
「お、おはようございます・・・あれ?」
教室の中には、子供が5人だけ。
「あの、先生は・・・」
「まだ来てないよ。」
茶髪の男の子が答えた。
ちょうど、隣の席だ。
は腰掛けながらふぅ、とため息をついた。
「寝坊したの?」
茶髪の子は、ニヤリとしながらを見た。
「昨日、なかなか寝付けなくって。」
「そっか。」
男の子はちょっと間をおいて、言った。
「オレは。キミは名前、なんて・・・」
バチッ・・・
「?!」
急に目の前が闇に包まれた。
周りの生徒がざわつきだす。
「て、停電!?」
「ブレーカー落ちたのかな?」
「全然見えないよー。」
「落ち着けよ!停電だったらしばらくしたら直るだろ?」
この部屋には窓が無い。
廊下も電気が落ちたようだから、視界は黒に支配されてしまった。
「ゲゲ・・・」
ふいに、何かの声がした。
ざわめきも一斉に静まり返る。
「ゲゲゲゲゲ・・・」
音の正体は探すまもなく、すぐにわかった。
教卓の上に光る、赤い目の持ち主だ。